No. 401 8/13 電話を携帯してみる。
コメント:

さすがお盆パワー。と言っても電車が空いているわけでは
ない。サラリーマンバランスが低いみたいで、東京駅なん
か多少は空いているように見えるのに、歩くとずいぶん引
っかかりが大きい。

最近、メールが増えたせいか電車の中でうるさく話す人と
か着メロとか少なくなってきたような気がする。そりゃ、
若者もバイト先や仕事先でジャンジャカ着メロ鳴らしてい
たらオヤジどもに怒られるわな。
と、言いたいところだが、場所も変われば事情も変わる。

今行っているところは構内電話(内線)がほとんどPHSになっ
ていて個人に番号が渡されている。外から直接PHSに入る番
号も付いているのでやりとりを頻繁にするお客さんなんか
からは直接電話がかかってくる。みんな同じPHSを使ってい
るので着メロなんかを設定しないとどうにもならない。何
せ食堂でも売店でも社内では確実に鳴るのだから。そんな
感じなので3人のお子さんが居るオジサマはとなりのトト
ロ、斜に構えた感じの向こうの人はYMOのメトロポリス、
流行に敏感な営業さんは波乗りジョニーだ。

パーティションの向こうから「アポロ」が流れてきて周り
の空気に緊張感が走りそれまでの作業の手が止まる。心な
しかみんな息まで潜めているようだ。
「もしもし、あ、いつもお世話になっております。申し訳
有りませんただいまちょっと席を離れておりますので5分
ほどで折り返し電話させていただいてよろしいですか?」
話している本人も普段の声より緊張気味のようだ。
「その件につきましても直ぐに折り返しいたしますので、
少々お待ちになってください。ハイすみません。どうも失
礼いたします。」

ピッ。と電話を切る音が聞こえて周りの緊張が一瞬で和ら
ぐ。そしてそれぞれがそれまで続けていた作業を再開する。
私はトイレットぺーパをゴロゴロと勢いよく引き出し、隣
の個室からはウォシュレットの動作音が聞こえ始めた。三
つくらい向こうの個室では水を流したらしい。タイル張り
の小部屋にザァーという音が響き渡った。

バイブではちょっと無理。