No. 744 1/12 恨めしく思ってみる
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小さい頃、咳風邪をひくと必ず飲まされたものがある。

大根を2センチくらいの厚さに輪切りし、周りに水あめ
をかけて一晩ほど置くと大根の水分が水あめに引っ張ら
れて出てくるのだ。これが非常にまずい。大根オロシの
汁だけを絞ったものに水あめの甘さが入っているのを想
像していただくと多分一番合っていると思う。私はこれ
がとても嫌いで、もう風邪で死んでも飲みたくないしろ
ものだった。必死に抵抗するのだが母は私の首をやくざ
の様につかみスプーンで歯をこじ開けてのどに流し込ん
でくる。それが気持ち悪くて吐いてしまったことまであ
る程だ。

今年の正月、実家に帰ると母が風邪をひいていた。なん
だか咳気味だがこれでも大分良くなったほうだという。
母がケホケホと咳をしている時に父がボソッと言う。
「おいおい、大根と水あめのあれ飲むとすぐに直るぞ。」

その言葉に母がキッとした目で答えた。

「そんなもんで直るかい!」

母よ、私はスプーンで口をこじ開けられた事を一生忘れな
いぞ。