No. 776 4/8 原因と結果の流れを考えてみる
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いわゆるサーバという物を組み立てたり直したりご機嫌を
伺ったりする事を生業としている。それは預金の利子を計
算したりメールを配送したり電車の運行を管理したりと縁
の下の力持ちで頼もしいヤツらではあるのだが、四六時中
エアコンの効いた専用の部屋を要求し、電気は気の向くま
ま使いまくり、時には背丈ほどもある筐体をブンブンとう
ならせ怒りをあらわにすることもあるワガママな奴らでも
ある。だがPCの様に色気づいてカラフルな画面にした挙句
気まぐれに顔面蒼白になって仕事を放棄するような事をし
ないのは職人的で私はヤツらのことが結構好きだ。

奴らはワガママな割には実は謙虚で、ちょっとした希望が
あると小さなオレンジ色のランプを点滅することでそれを
表現する。私はそれらの印がでているとすばやく御用聞き
に伺い、仰せのとおりに対処するのが仕事のひとつとなっ
ている。

私の職場には現在20台程度の奴らがいるのだが、今週はど
うもご機嫌ナナメでちょいと忙しかった。コチラの職人は
電源が壊れたと訴え、コチラの職人はメモリが限界だとい
う。スムーズに対処しないといずれ取り返しの付かない事
になり、奴らが利子の計算やメールの配送や電車の運行管
理をしなくなった場合、それは事故となる。

非常に重要なヤツが倒れてしまった場合、見張っていた隣
のヤツがしゃしゃり出てきて代わりを引き継ぐという仕組
みも存在する。普段はボーっとしているだけの無駄なヤツ
に見えないことも無いが、事故をより小さな被害で済ます
為の保険として重要な役割をしている。

ところで、事故というのは何処の世界にも存在する。

私のところでも今までいろいろな事故が発生している。今の
現場は非常に優秀な人達なので、事故に関して不条理な責任
等を問われる事はない。例えばCPUが壊れたということに対し
てその故障を責められることは無い。(世の中にはそういった
部分を他人に押し付けてどうにかしようというバカ上司が多
数存在する)。また、想定の範囲外の動作に対しても多少怒ら
れることはあってもそれ自体を激しく責められる事は少ない。

が、例えば故障の対応策を間違った場合、予防方法があった
にも関わらずそれを怠っていた場合、既知の想定範囲である
にも関わらずチェック機構が機能していない場合、などはそ
れは責任を追及され、原因と対策を細かに解析してご報告す
る事が必要になる。

実は何度かこれらのものに当てはまる事故というのもあって
ご報告書を作成することがあったのだが、これらをまとめて
行くと必ず何処かしらに原因ははっきりしていて、その大抵
が「まぁいいか」という気の緩みである。あきれるくらいは
っきりしている。

事故は何処にも存在する。しかし、それは本当に事故なのか、
前兆を見逃していたための結果ではないのか。実はだいぶん
前からオレンジランプが点滅していたのではないか、と最近
のニュースを聞きながら考えてしまうのである。

余談だが、事故の可能性がある場合事前にその範囲内から逃
げる/逃がすというのも一端の対応策である。しかも結構使え
る。物事は常に最悪をイメージすることから始まる。